サステナブルモデル

フィル・カンパニーの展開するフィル・パークとプレミアムガレージハウスは、以下のモデルにのっとり地域課題の解決を通して、より良い社会・世界づくりに貢献しています。

1. 課題発見

独自のマーケティング・ノウハウを駆使しながらその土地の役割や可能性・潜在力を見出すことで理想的な未来像と解決すべき課題を明らかにします。

2. 企画・設計

駐車場とその空中活用のため、街の変化や解体まで未来を見据えながら最適解となる土地利用法を企画・設計します。

11 住み続けられるまちづくりを

3. 建築

景観や環境に配慮しながら時代・社会・まちの需要にあった空間を創ることで賑わいと、街の安らぎとなる灯りを生み出します。

11 住み続けられるまちづくりを

4. テナント誘致

テナント誘致に伴い、入居テナントの融資計画書や開業支援などソフト面もサポートしながら小規模テナントが持続的に活躍できる環境を創ります。

8 働きがいも経済成長も

5. 運用

投資回収を早期化し、街の移り変わりに併せて次の活用方法(運用継続or解体)を選択できます。解体時は、環境負荷低減も徹底しています。

13 気候変動に具体的な対策を

Before

Before写真

土地オーナー・
テナント、地域・人
全てに喜ばれ続ける
サステナブル=
未来志向のものづくり

After

After写真

1. 課題発見

郊外の空き地・空き家の活用のため、理想的な未来像と解決すべき課題を明らかにします。

2. 企画・設計

立地に囚われない多様な住宅・ライフスタイルの選択肢として賃貸型ガレージハウスを企画・提案します。

11 住み続けられるまちづくりを

3. 建築

プレミアムガレージハウスの屋根に太陽光発電設備を設置し、再エネ普及による環境負荷低減に貢献します。

7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに

4. 入居者募集

入居者募集を通して地域への住民流入や賑わい創出など街に必要とされ、足りない機能を誘致します。

8 働きがいも経済成長も

5. 運用

投資回収を早期化し、街の移り変わりに併せて次の活用方法(運用継続or解体)を選択できます。解体時は、環境負荷低減も徹底しています。

13 気候変動に具体的な対策を

Before

Before写真

土地オーナー・地域/人
全てに喜ばれ続ける
サステナブル=
未来志向のものづくり

After

After写真

5つの重点取り組みテーマ

サステナビリティ方針やSDGsの実現などの観点から重点課題(マテリアリティ)を特定し、重点的に5つの取り組みを行っています。特定した重要課題については今後も適宜見直しを行い、効果的な取り組みを推進しています。

  • テーマ1 SPACE ON DEMANDに基づくサーキュラーなまちづくりの推進
  • テーマ2 デザイン性や経営支援、動線を考慮した設計など、中小企業テナントが活躍できる環境づくり
  • テーマ3 建物の省エネルギー化、GHG排出量削減に向けた取り組み、エネルギー関連投資の推進
  • テーマ4 事業経営人材の育成と多様性のある職場づくり
  • テーマ5 コンプライアンス、金融・不動産市場変動への対応

2030年に向けたKPI
(非財務目標)

KPI 1
SPACE ON DEMANDに基づく
サーキュラーなまちづくり
KPI 2
温室効果ガス排出量ゼロ(Scope1.2)
※Scope3は30%削減
KPI 3
事業経営人材の育成と
多様性のある職場づくり

2030年に向けて、創業当初から大切にしてきた考え方「SPACE ON DEMAND(今の世の中の需要にあった空間づくり)」に基づき、サステナビリティへの取り組みを加速していきます。

そのために、サステナビリティ委員会がマテリアリティ(特定された重点課題)ごとのKPI(非財務目標)を設定し、実績をレビューするなど進捗状況を管理します。気候変動を含む、特定した重点課題と取り組みに関するKPIは次の通りです。

KPI(非財務目標) 目標の詳細 対象範囲 関連するSDGs
SPACE ON DEMANDに基づくサーキュラーなまちづくり フィル・パークとPGHで合計1,000棟 フィル・カンパニーグループ全体
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
温室効果ガス排出量削減 ※1 Scope1,2の合計 ※2
2025年 ▲50%削減
2030年 実質ゼロ
Scope1.2の合計:フィル・カンパニーグループがエネルギー管理権限を有する建物
Scope3の合計 ※3
2030年 ▲30%削減
2050年 実質ゼロ
Scope3:フィル・カンパニーグループの事業活動に関連するScope1.2以外の間接排出
ZEB・ZEHへの対応 2030年以降の新築建築物について、100%ZEB・ZEH対応 フィル・カンパニーグループ全体
国産木材を活用したPGH 2030年以降の新築PGHについて、50%以上が国産木材を使用 フィル・カンパニーグループ全体
サステナビリティ委員会における気候変動モニタリング回数 各年1回以上 株式会社フィル・カンパニー
中小企業テナントの活躍できる環境づくり 個人・中小テナント入居割合80%以上 株式会社フィル・カンパニー
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 11 住み続けられるまちづくりを
事業経営人材の育成、多様性のある職場づくり 女性管理職比率30%以上 フィル・カンパニーグループ全体
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

TCFDのロゴ

フィル・カンパニーは、気候関連財務情報開⽰の重要性を認識し2022年にTCFD提言(※)に賛同し、TCFDが推奨する開示事項について検討と対応を実施の上、提言に即した情報開示を行っています。

ステークホルダーの皆さまに対して「持続可能な社会」の実現へ向けた当社の取り組みを分かりやすくお伝えするとともに、さらなる情報開⽰の充実に取り組んでいきます。

  • ※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures︓気候関連財務情報開⽰タスクフォース)は、主要国の中央銀⾏や⾦融規制当局等が参加する国際機関である⾦融安定理事会によって設⽴されたタスクフォースで、投資家に向けた気候関連の情報の開示フレームワークを提言しています。

ガバナンス

当社は、気候変動対応を経営上の重要課題として認識し、取締役会による監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築しています。

重点課題(マテリアリティ)を特定したプロセス

取締役会では、気候変動に関するリスクと機会について少なくとも年1回以上サステナビリティ委員会より報告を受け、課題への取組や設定した目標に対するモニタリングを行い監督します。

また、気候変動のリスクと機会は当社の事業活動においても重要なファクターであることから、これを踏まえた経営戦略や計画、予算策定などの意思決定を行っています。

サステナビリティ委員会

気候変動に係るリスクと機会への対応方針やGHG排出量の削減目標・取組状況などの重要な事項に関して、サステナビリティ委員会で審議・調整を行います。サステナビリティ委員会は、気候変動に関する統括者である代表取締役社長が委員長を務めています。

サステナビリティ委員会では、気候変動が事業活動に与える影響について少なくとも年1回以上評価を行い、特定したリスクへの対応と機会の獲得に向けた検討をしています。また、検討内容は取締役会に報告し取締役会の監督を受けています。

サステナビリティ推進チーム

サステナビリティ推進チームは、気候変動を所管する部門横断的なチームであり、気候変動に関する企画・立案・管理を行い、サステナビリティ委員会での各種検討事項の整理、気候変動への対応の推進を担っています。

具体的には関係部署やグループ会社の協力を仰ぎながら気候変動の影響のモニタリング、サステナビリティ委員会への課題共有やモニタリング状況などの報告を行っています。

気候変動による影響について

TCFD提言では、気候変動の物理的な影響がもたらす企業のビジネス上のリスク(物理的リスク)、および低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)について、シナリオ分析の実施が求められています。当社に関連する物理的なリスクとしては、気温上昇による台風や洪水発生に伴う建物の浸水、復旧に伴う費用の発生やテナントの営業停止、感染症の流行による外出制限に伴うテナントの撤退、気温上昇による完工遅延や建設費用の増加などがリスクとして挙げられます。移行リスクとしては、炭素税の導入といった政策強化に伴うものやライフスタイルの変化などの社会的影響が挙げられます。

一方、機会として、ZEB・ZEHなどの環境に対応した商材へシフトしていくことによる収益機会の獲得、気温上昇による人々のライフスタイルの変化に合わせたフィル・パークの展開、郊外への居住といったライフスタイルの選択肢を広げるプレミアムガレージハウスのニーズが高まることなどが挙げられます。

リスク重要度の評価

将来想定される気候変動によるリスクと機会について、移行リスク・物理リスクなどの観点から重要度の評価を行いました。影響が大きい移行リスクとして政策・法規制の強化(炭素税、ZEB・ZEH化の規制等)、再エネ購入費用の増加、気候変動の対応遅れによる信用低下、ブランド力の低下などが挙げられます。

急性的な物理リスクとして、気温上昇による台風や洪水発生などに伴う建物の浸水や営業停止などのリスク、感染症の流行による外出制限がテナントの経営に影響を及ぼす可能性があります。慢性的な物理リスクとして、気温上昇による労働時間の制限、完工遅延などによる建設費用の増加などが重要性の高いリスクとして挙げられます。

シナリオ群の定義と事業インパクト評価

リスク重要度の評価の結果、重要性の高いものに関しては1.5℃と4℃シナリオにてシナリオ分析を実施しました。対象は、当社の中核を担うフィル・パーク、プレミアムガレージハウスといった空間ソリューション事業です。中期的な時間軸の中で取組を具体化することを目的として、2030年をターゲット年として設定しました。

1.5℃シナリオでは、低炭素化に向けて政策や法規制などが強化され、ZEB・ZEHの推進、及び再エネの導入も進み、4℃シナリオと比較して自然災害による影響は相対的に軽くなると想定されます。このため、政策や規制などの移行リスクが当社事業に一定の影響を与えるものと考えられます。

一方、4℃シナリオでは低炭素化や再エネ導入が進まず、自然災害が激甚化することが想定されます。このため、気候変動による物理的リスク(急性的、慢性的)が事業に一定の影響を与えるものと評価しました。

フィル・パーク事業においては、ZEBなどの環境対応やエネルギー効率に配慮した建物の設計・開発を行っていくことが期待されます。また、一部のフィル・パークは1階部分を駐車場として活用する設計となっており、建物自体への浸水等による直接損害リスクは一定程度軽減されます。

プレミアムガレージハウスにおいては、国産木材からなるCLTを活用した商品開発の取組や、屋根での太陽光発電を利用した非化石証書の取得など低炭素化に向けた取組を進めていくことなどが期待されます。

以上の分析により、事業のレジリエンスに関しては確保できているものと考えています。

移行リスク

区分 リスク 2030年時点のPL影響
1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
政策・法規制 炭素税導入に伴う操業コストの増加
省エネ規制の強化、対応遅れによる補助金等の機会損失
技術 再生可能エネルギーの普及に伴うエネルギー購入費用の増加
社会(市場・評判) 気候変動への対応遅れによるステークホルダーからの信用低下、ブランド力の低下

物理的リスク

区分 リスク 2030年時点のPL影響
1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
急性的物理リスク 台風・洪水等の災害による浸水リスク・対応コストの増加
コロナウイルス感染症、蚊媒介感染症拡大による街へ訪れる人々の減少、フィル・パークの建設需要の減少
慢性的物理リスク 平均気温の上昇に伴う、遮熱装置・空気循環・冷房設備等の設置費用、冷暖房費用増加によるテナント負担の増加、入居率への影響
気温上昇による労働時間の制限に伴う完工遅延、建設費の増加

機会

区分 リスク 2030年時点のPL影響
1.5℃シナリオ 4℃シナリオ
エネルギー プレミアムガレージハウスへの太陽光発電設置、非化石証書取得によるGHG排出量削減
市場 気候変動に伴うテナント側のニーズ変化に対応したフィルパーク展開により小規模事業者への事業機会提供、テナント需要の増加
ZEBの需要増加に伴う対応による収益機会獲得
生活様式の変化、プレミアムガレージハウスの需要増加

財務影響の評価については下記の基準で評価を行いました。

範囲 評価
連結経常利益の5%以内
連結経常利益の5%超30%以内
連結経常利益の30%超

リスク管理

リスク管理を含めた気候変動に関する事項は、取締役会の監督の下、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が一元的に審議・調整しています。

気候変動リスクと機会の特定、評価および管理する仕組み

気候変動に関する事項を所管するサステナビリティ推進チームは、社内の関係部署とグループ会社の協力を仰ぎながらリスクと機会の特定を主導し、状況の把握を行います。さらに、適切な対応を検討し、少なくとも年1回以上サステナビリティ委員会に報告・提言します。

サステナビリティ委員会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、評価します。リスクの評価については、その他のサステナビリティ委員会で審議・調整した気候変動に関する事項とともに少なくとも年1回以上、または必要に応じて取締役会に報告されます。

取締役会は、リスク管理の状況と対応を含めた気候変動に関する事項についてサステナビリティ委員会より報告を受け、課題への取り組みや設定した目標を監督します。

コンプライアンス委員会は年1回以上開催され、気候変動以外にも全社のコンプライアンスまで含めたリスクの把握と対応を審議し、取締役会に報告しています。また、気候変動の影響についての報告・提言があった場合も同様に、全社的なリスク管理に統合し、対応を決定します。

温室効果ガス(GHG)の排出状況

2023年11月期の温室効果ガスの排出状況については、以下の通りです。

スコープ/カテゴリ 排出量 割合(%)
対Scope3 対Scope1,2,3
サプライチェーン排出量 19,951.2 100%
スコープ1 自社における燃料の燃焼に伴う直接排出 2.2 0.0%
スコープ2 購入した電力、熱の使用に伴う間接排出 53.1 0.3%
カテゴリ1 購入した製品・サービス 11,608.7 58.3% 58.2%
カテゴリ2 資本財 440.4 2.2% 2.2%
カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動
カテゴリ4 輸送、配送(上流)
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 8.8 0.0% 0.0%
カテゴリ6 出張 50.9 0.3% 0.3%
カテゴリ7 雇用者の通勤 16.6 0.1% 0.1%
カテゴリ8 リース資産(上流)
カテゴリ9 輸送、配送(下流)
カテゴリ10 販売した製品の加工
カテゴリ11 販売した製品の使用 6,447.7 32.4% 32.3%
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 643.6 3.2% 3.2%
カテゴリ13 リース資産(下流) 679.1 3.4% 3.4%
カテゴリ14 フランチャイズ
カテゴリ15 投資
スコープ3 19,895.8 100.0% 99.7%

※ GHGプロトコルに基づいて、温室効果ガスを算定しています。Scope1及びScope2の集計範囲はフィル・カンパニーがエネルギー管理権限を有している建物です。
※ Scope2の排出量はマーケット基準による排出量です。ロケーション基準では29.2t-CO2です。
※ 対象組織は、株式会社フィル・カンパニー、株式会社フィル・コンストラクション、株式会社プレミアムガレージハウス、株式会社フィル・まちづくりファンディングとしています。対象組織はフィル・カンパニーグループの売上高の95%をカバーしています。

算定方法・基準(Scope3)

GHGプロトコルやサプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインなどに準拠し、算定を行っています。

内容 対象 算定方法
カテゴリ1 購入した製品・サービス 原価は80%超を占める勘定科目を対象に金額×排出係数で算定。
役務は金額×排出係数で算定。
カテゴリ2 資本財 固定資産台帳をベースに対象事業年度の固定資産取得金額×排出係数で算定。
カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃料及び
エネルギー関連活動
カテゴリ4 輸送、配送(上流)
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 主に本社内で発生する一般ゴミの処理費用に排出係数を乗じて算定。
カテゴリ6 出張 (移動手段の)交通費支給額に排出係数(宿泊は宿泊数に排出係数)を乗じて算定。
カテゴリ7 雇用者の通勤 (移動手段の)交通費支給額に排出係数を乗じて算定。
カテゴリ8 リース資産(上流)
カテゴリ9 輸送、配送(下流)
カテゴリ10 販売した製品の加工
カテゴリ11 販売した製品の使用 床面積に対して排出係数と耐用年数(想定使用期間)を乗じて算定。
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 床面積に排出係数(CASBEE(建築環境総合性能評価システム)評価マニュアル)を乗じて算定
カテゴリ13 リース資産(下流) 各リース資産についての規模等を表す指標に基づき算定(床面積×排出原単位)
カテゴリ14 フランチャイズ
カテゴリ15 投資